草刈り作業をしていたら格差社会の原因というか構図を思いついた

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草刈り作業をしていたら格差社会の原因というか構図を思いついた

2019年04月23日 16時45分

[経済・お金に関する話題]

男性
今回は前の記事で書いた続きです
女性
ああ、草刈り中に格差社会について思いついたとかいうアレですね
先日、実家の畑の草刈り作業を手伝いに行ってきました。
農村地域ではどこも同じだと思いますが、高齢化が進んで慢性的に人手が不足しています。
僕が草刈りに駆り出されたのも数年前に義父が亡くなり、畑の働き手のメインがいなくなったからなのです。

それはさておき、草刈り作業中にふと「これって格差社会の原因のひとつなんじゃないか?」と思いついたことがありましたので、今回はそれについてお話します。
 

草刈りの手段は色々とある

今回草刈りの手伝いに行ったのは、僕とヨメと娘。
僕がエンジンタイプの草刈り機でメインのフィールド作業。
ヨメと娘は、草刈り機ではやりにくい細かい部分を手作業の鎌で除草。

草刈り機は平らな部分の広範囲をやる分には、手作業の鎌より断然早い。
でも斜面や、大小の石などがゴロゴロ転がっているようなところは刃が石などにあたるので、効率が悪くなり、鎌でやった方がいい。

草刈り機は年季の入った古い機械で、重いのでバンドで肩に吊るしているとはいえ、結構な運動になります。
1時間ほど作業した時、草刈り機が突然停止しました。

エンジンを掛けなおそうとスターターの紐を引きますが、何度か目にやっと再始動。
しかし、その内また停止してしまう……

こんな不調を繰り返して、2時間後にはついにエンジンがかからなくなってしまいました。
完全に故障です。

エンジンをバラしてメンテするようなスキルは持っていません。
さてどうしたものかと思いましたが、まあぼーっとしてても仕方がないので、僕も鎌で草を刈りながら思案していました。

残りの畑の面積……まだまだ全体の4分の1程度しか終わってない……
先ほどまでの草刈り機での効率に比べると、手作業の鎌での草刈りはあまりにも遅い。。。
これでは今日一日で終わらせるのは到底無理だ。

そう考えた僕は、草刈り機を新しく買いなおすべく、まずはスマホを使ってamazonで草刈り機の相場価格を調べてみた。
すると、まあ大体1万5千円くらいだせば、同じタイプの新品が買えると分かった。
女性
へえ、それほど高いものじゃないんですね
男性
僕も4、5万くらいするのかなぁと思ってたよ

じゃあもう買いに行こう。
僕は車で近くのホームセンターに行って、2万円弱で新品の草刈り機を買って畑へ戻りました。

新しいマシンを投入!
まあ作業が進むこと!

古い草刈り機より随分軽いし、パワーもあるし、刃もピカピカなのでよく切れる。
スイスイと草刈りが進みました。
ああ、最初からこれだったら今頃もう半分以上終わってただろうなぁ。

そんなことを考えていました。

最適化と淘汰、そして格差が広がる

この時、ふと思いました。

もしもまだ誰も草刈り機という機械を知らない時代、鎌だけで草刈りをするしかなかった時代。
僕がその時代に「草刈り屋」を営む自営業者だったとする。

頑張って依頼主の敷地の草を鎌で刈り取り、それ相応の代金をいただいて生活を立てる。

ところがある日、突然パタリと依頼が入らなくなる。
「なぜ? 今までこんなに依頼が来なかったことはないのに……」

焦った僕は、お得意様のところを見て回ることにする。
すると、なんということでしょう!
見たこともない機械を背負った作業員が、すごい速さで草を刈って行っているではありませんか!

自分が半日かけてやっていた面積を1時間もかからずに終了させるスピード。
よく見ると、手作業でやるより粗い部分は散見されるが、料金は自分の3分の1程度だそうで、その料金とこのスピードなら依頼者は十分満足するだろう。

おそらくこの先自分のところへの仕事の依頼は極端に減るだろう。
選択肢は3つ。

1.草刈り稼業から撤退する
2.手で丁寧に刈り取り、高価格だけど高品質の独自性を打ち出す
3.自分も草刈り機を導入する

安易に3を選んだとする。するとどうなるか。

安い仕事がちょくちょく来るようになるが、草刈り機を見た周囲の人間が、手軽にできる仕事として参入してくるようになり、価格競争が起こる。
そして働いても働いてもちっとも儲からないという負のスパイラルに落ちていく。

そうなるとメチャクチャ安く雇える人材を探して仕事をさせなければ利益が出なくなるので、仕事を探している人間を口八丁手八丁で連れてきて安く作業させる。
作業者から「鬼!」「ブラック!」と呼ばれながらもこの過酷な競争に勝たなければ先がない。

また、手作業時代の同業者のAさんは、仕事が減ったことの原因をリサーチしなかったので、自分に仕事がこなくなった原因もわからないまま開店休業状態が続いて借金地獄に落ち、今は過酷な肉体労働の作業員として働いている。

一方、草刈り機を開発した人はメーカーとなってホクホク状態で、工場を増やし、増産をかけ、「草刈り機御殿」なる邸宅を立てていた……
女性
私は草刈り機開発者のお嫁さんになって勝ち組になりますw
男性
うわぁ……
まあ、こんな話を想像しながら草刈り作業をしていたんです。

この話、草刈りというとても分かりやすい、見たらすぐに「草刈り機」に気づける話なので気づかずに潰れていくやつはアホだなーと思うかもしれない。

しかし現代社会は、草刈り屋業界(笑)ほどシンプルではない。
ネットをはじめとし、知る人ぞ知るツール、ノウハウ、流通ルート、海外拠点、顧客に喜ばれるサービス、ぱっと見ではライバルが何をしているのか非常にわかりにくい。
そもそもどこが自分のライバルになっているのかすら分かりづらかったりする。
自分の会社や店が、なぜ不景気になったかになかなか気づけないのだ。

気が付けば上手く最適化したやつは生き延び、最適化できなかったやつは淘汰される。
しかも最適化したと思ったら、周りの多くの連中も同じ最適化をどんどん始めていて、まるでテンプレートのように何もかもが似通った感じの商品やサービスになって足の引っ張り合いが始まり、さらなる最適化や飛躍が求められる。
その競争に社会的弱者が巻き込まれ、安い賃金で死ぬほど働かされる。

その裏でインフラ系を牛耳った奴は、下々の人たちとは比較にならないほどの富を手に入れている。

こうして格差社会が出来上がっていくんですかね。


 

格差社会はどんどんシビアになっていくと思われる

格差というものは昔からあると思う。
もちろん王様がいるような封建制の時代は格差というより身分からして公式に違うので別として、民主的なそして資本主義の世界では少なからず格差が必ず発生するのは仕方がない。

でも昔の格差は今よりもシビアさが緩やかだったと思う。

その理由はまず、社会や文明自体の発展が途上だったからではないでしょうか。
いくらお金持ちでも今のような高性能パソコンがあるわけではなく、計算はそろばんでするしかなかったとか。
インターネットもなく、お金持ちでも遠くへ連絡したり、移動する手段は限られていたとか。
流通もそこまで整っていないので、お金持ちでも海外の珍しい料理とかは滅多に食べられなかったとか。

まあ、そうは言っても富裕層は貧困層より確実にいい暮らしですけどね。

ようは文明レベル的に上層(富裕層)と下層(中~貧困層)が出来ることに、現代ほどの大きな差がなかった。

社長さんは海外旅行に行くけど、庶民は近場の温泉旅行。
社長さんは銀座で飲むけど、庶民は地元居酒屋&地元スナック。
社長さんの息子の靴はピカピカだけど、庶民の子供の靴は汚れたズック。

そして社長さんは、仕事には厳しいけど社員を家族のような存在として雇い、マジメに仕事をすれば一生面倒を見てくれる親分肌の人が多かった。
格差はあるけど、庶民はまあ幸せといえば幸せな暮らしで、なにより大多数が同じレベルの庶民だという安心感もあっただろう。


ところが現代の格差はシビアで、このシビアさはきつくなる一方だと思われる。

文明のレベルも上がり、社会も豊かになっているけど、先ほどまでのお話の「最適化」に企業も個人も追いたてられているのだ。

昔は家族のような存在で雇っていた社員だが、現代ではそんなこともいっていられない。
優秀で会社に利益をもたらす人間は厚遇し、満足度をあげて囲い込むが、それ以外は正直へんなヤツでなければまあOKで、安ければ安いほどいい。

当然社会保険や厚生年金をはじめとする福利厚生なんかは手厚くやるといつ会社が苦しくなるか分からないのでできるはずがなく、少し割高だが人材派遣会社に手数料込みの人件費で割り切れる人材を引っ張ってきてもらって契約し、不要になったら契約更新はせずに合法的にお払い箱にする。

昔は1年くらいの期間をかけてやっていた大きな仕事も、テクノロジーの進歩で2、3ヶ月で納品となるため、現場は常にアップアップ。

エンタメ業界でもかつてのように自由な創作などは許されず、「売れるタレント」「売れる作家」「売れる監督」「売れるストーリー」ばかりが選ばれ、テンプレートに従わない冒険などスポンサー的に許されず、結果「似たようなキャスティングの映画」「似たようなアイドルグループ」「似たような話のドラマやアニメ」「似たような音楽」があふれかえる。

そしてテンプレートがある故に工期は極端に短く、その場しのぎのやっつけ仕事になるわりに、現場は過労で倒れるほどのハードワークとなる。

この傾向はシビアになっていくばかりで、緩くなることは当面ないと思われる。
男性
世知辛い世の中だねぇ
女性
なんか気が滅入ってきました。

後日談

男性
実は草刈りの話には続きがあってだね……
女性
へえ(興味薄)
実は、草を刈らなければならない畑がもうひとつあると言われ、翌週も草刈りに出かけました。
ちなみに前回の草刈りから3日間筋肉痛でしたw

その日行った畑を見て愕然としました。
男性
前回の倍くらい広いジャン……
もうホント愕然ですよ。

前回だって途中で草刈り機が壊れて新しいのを買いに行ったとはいえ、朝から夕方まで結構な詰め具合で作業したんですよね。
これ、終わる?

しかし!
1時間くらい作業をしていると、隣の畑でトラクターで仕事をしていた近所のおっちゃんが「おお、これ(トラクター)でやったろうか?」と言ってくれたのです。
もちのろんでお願いしました。

すると!
1時間くらいでトラクターができる広範囲の草はなぎ倒され、残りを草刈り機と鎌でトータル3時間くらいで終わりました。

何のことはない、さらなる最適化「トラクター」によって「草刈り機」も淘汰されちゃったのですw
男性
草刈り機夫人は早計かもね
女性
あんなの冗談に決まってるじゃないですかぁ
(こりゃ見極めは難しいな……)



 

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